長田支部 危機管理細則

 (はじめに)

長田支部は、1月17日を防災の日とすることを宣言する。

1995年のこの日、阪神・淡路大震災は、阪神間の諸都市と淡路島に6500名余りの犠牲者と未曾有の生活破壊・都市基盤崩壊をもたらし、多くの会員が深刻な被災を蒙った。この災害は忘れようのない深い悲しみと多くの貴重な体験を私たちにもたらした。私たちはこの経験から学び、将来の非常時に対応するべく近畿税理士会が定める危機管理規則の具体的運用を図るため、この細則を定める。

この細則における危機管理の理念は、非常時における支部会員間の相互扶助の精神を発揮して、支部会員相互の連帯感、支部と支部会員の一体感を醸成し、支部に所属することによる安心感を享受できる体制をめざすことである。また、非常時における対外的な活動として、その専門職能を積極的に提供し、被災時に展開される社会的な活動に可能な限り参加することによって、専門家団体に要請される社会的、市民的期待に応えようとするものである。

同時に、支部にできることは自ずから限られており、支部会員各自がそれぞれ自らの創意と責任において、防災の備えと安全の確保を日頃から心すべきであり、支部もその啓蒙に努力する。

そして、何よりもその危機管理の理念の核心は、単に被災者を被災者でない者が支援するということではなく、支部会員全体が被災を共有するという精神、社会的にも多くの市民で被災を共有するという考え方にたたねばならないということである。この細則の具体的な運用については、このような精神に立脚してなされることを期待する。

(長田支部危機管理細則の制定にあたって)

標準支部危機管理細則の制定から20年の歳月が経過し、その間に我が国は東日本大震災(2011年3月)を始めとする様々な災害に見舞われたほか、近畿地方においても大阪北部地震(2018年6月)その他豪雨災害など、これまでの想定を超える規模、頻度の災害を経験した。

さらに、今般、新型コロナウイルス感染症という、誰もが想定をしていなかった、社会構造をも大幅に変える未曾有の事態に直面することとなった。

これらの経験より、これまでの諸規則を礎としつつ、災害その他緊急事態に対応すべく危機管理体制を抜本的に見直し、本細則を制定するものである。

 

第1章 総 則

(制定根基)

第1条 この細則は、災害その他緊急事態発生時における危機管理体制について、支部規約第56条第2項の規定によりこれを定める。

(目的)

第2条 この細則は、災害その他緊急事態発生時において近畿税理士会長田支部(以下「支部」という。)が正常な機能を回復すること、事業を継続すること、支部会員を支援すること及び一般納税者に可能な限り税理士の職能を提供することを目的とする。

(定義)

第3条 この細則において、災害その他緊急事態とは、次に掲げる場合をいう。

(1) 災害による緊急事態

暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する原因により生ずる被害により、支部の事業等に甚大な支障をきたし、又はきたすおそれがある事象及び状態をいう。

(2) 災害以外の緊急事態(以下「その他の緊急事態」という。)

重篤な感染症の発生など前号以外で支部の事業等に甚大な支障をきたし、又はきたすおそれがある事象及び状態をいう。

(支部の責務)

第4条 支部は、災害その他緊急事態発生時においては、支部長の判断により、組織及び機能のすべてをあげて支部会務の執行に関し万全の措置を講じ、第2条に掲げる目的を遂行するものとする。

2.支部は、国、地方公共団体に、災害その他緊急事態に関する諸制度の要望を近畿税理士会(以下「本会」という。)を通して要請する。ただし、支部長が急を要し、かつ必要と認めたときは、直接要望することができる。

第2章 災害発生時における体制

(災害対策室の設置)

第5条 本会危機管理規則(以下「本会規則」という。)第8条の規定により災害対策本部(本会の会長が、本会規則第5条の規定に基づき設置する機関のことをいう。以下同じ。)の本部長(以下「本部長」という。)の指示に基づき、支部長は、直ちに支部に災害対策室を設置する。なお、支部長に事故あるときは、あらかじめ支部長が指名した順位に従い副支部長が設置する。

2.支部長は、支部の事務所が被災したため、第1項に定める設置が不可能と判断したときは、以下の順序に従い代替設置場所を指定する。

(1) 支部長の事務所内

(支部の事務所が支部長の事務所内にあるときは、次号以下の順序とする。)

(2) 副支部長の事務所内

(3) その他支部長が指定する場所

3.前項の代替設置場所の設置期間は、支部がその機能を回復するまでとする。

4.支部長は、災害対策室を設置したときは、これを支部役員会に報告する。

(災害対策室の構成)

第6条 災害対策室は、室長及び室員をもって構成する。

2.室長は、支部長をもって充てる。

3.支部長に事故あるときは、あらかじめ支部長が指名した順位に従い副支部長が室長となる。

4.室員は、室長が指名した者をもって充てる。

5.室長に事故あるときは、あらかじめその指名する室員がその職務を代理する。

6.室長は災害対策室に、統括部、財政部、情報収集部、広報部、支援対策部及びその他必要な部を置くことができる。その場合、室長は各部の構成員とその長を指名する。

(室長の権限及び職務)

第7条 室長は、災害発生時における当該災害に係る支部会務について、被災支部会員及び被災者に対する業務支援及び支援事業の実行、危機管理積立基金の支出その他一切の権限を有し、かつ執行する。

2.室長は、活動状況を災害対策本部(支部の地域に、本会規則第9条の規定に基づき現地災害対策本部が設置されている場合は現地災害対策本部。(第8条各項において同じ。))に報告するものとする。

3.室長は、活動状況を支部役員会に報告するものとする。

(災害対策室の職務)

第8条 災害対策室は、被災地及び被災支部会員にかかわる情報を適確に把握し、災害対策本部に報告しなければならない。

2.災害対策室は、災害対策本部の指示に基づき、業務支援及び支援事業を行う。

3.災害対策室は、室長が急を要し、かつ必要と認めたときは、災害対策本部の指示なくして業務支援及び支援事業を行うことができる。

(業務支援)

第9条 災害対策室は、被災支部会員からの要望に対し次の業務支援を実施する。

(1) 事務機器の無償貸与

(2) 事務処理の支援

(支援事業)

第10条 災害対策室は、協議のうえ支部会員に対し次の支援事業を実施する。

(1) 税務情報の提供

(2) 官公署、民間諸団体が発する災害時の生活及び業務に関連する諸情報の収集とその情報提供

(3) その他有益な情報の提供

2.災害対策室は、協議のうえ被災者に対し次の支援事業を実施する。

(1) 国、地方公共団体が行う国税、地方税、融資、その他災害時に設置される各種の相談会場への税理士会員の派遣

(2) 関係諸団体と共同で行う税務等に関する相談会場への税理士会員の派遣

(3) 税務情報の提供

(4) 税務相談の実施

(5) その他必要と判断した事項

(国、地方公共団体及び関係諸団体との協議及び交渉)

第11条 室長は、本会危機管理に関する実施規程(以下「本会規程」という。)第4条により本部長から指名を受けているとき、国、地方公共団体、関係諸団体との協議及び交渉を行う。

(報道機関との連携)

第12条 災害対策室は、必要な情報を報道機関に提供し、被災地域住民に広くいきわたるように図る。

(災害対策室の解散)

第13条 災害対策室は、本会規程第10条に基づき解散する。

第3章 支部災害発生時における体制

(支部災害)

第14条 次の各号いずれかに該当する支部の地域内の災害を支部災害という。

(1) 災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用に準ずる災害

(2) 人的物的被害が相当な規模の災害

(支部災害対策室の設置)

第15条 支部長は、支部災害が発生し、必要と判断したときは、支部に支部災害対策室を設置する。なお、支部長に事故あるときは、あらかじめ支部長が指名する順位に従い副支部長が設置する。

2.支部長は、支部の事務所が被災したため、前項に定める設置が不可能と判断したときは、第5条第2項の順序に従い代替設置場所を指定する。

3.前項の代替設置場所の設置期間は、支部がその機能を回復するまでとする。

4.支部長は、支部災害対策室を設置したときは、これを支部役員会及び本会に報告するものとする。

(支部災害対策室の構成)

第16条 支部災害対策室の構成については、第6条を準用する。

(室長の権限及び職務)

第17条 室長は、支部災害発生時における当該災害に係る支部会務について、被災支部会員及び被災者に対する業務支援及び支援事業の実行、危機管理積立基金の支出その他一切の権限を有し、かつ執行する。

2.室長は、活動状況を支部役員会に報告するものとする。

(支部災害対策室の職務)

第18条 支部災害対策室は、支部会員及び支部事務局職員の被災状況等の確認を行う。

2.支部災害対策室は、業務支援及び支援事業を行う。

(支援活動等)

第19条 支部災害対策室が行う業務支援及び支援事業については、第9条及び第10条を準用する。

(国、地方公共団体及び関係諸団体との協議及び交渉)

第20条 室長は、国、地方公共団体、関係諸団体との協議及び交渉を行う。

(報道機関との連携)

第21条 支部災害対策室は、必要な情報を報道機関に提供し、被災地域住民に広くいきわたるように図る。

(支部災害対策室の解散)

第22条 室長は、支部災害対策室の目的を達成したと認めたとき、これを解散する。

2.室長は、支部災害対策室を解散したとき、支部役員会及び本会に報告するものとする。

第4章 災害発生時における会員等に関する情報の確保

(緊急連絡網)

第23条 支部は、本会規則第10条第2項の規定に基づき本会が作成した緊急連絡網の写しを保存し、支部会員の被災状況等の確認に備える。

(被災地域会員等の報告義務)

第24条 被災地域の支部会員は、本会からの指示に基づき、被災状況等を本会規程第16条第1項第1号に定める被災状況報告書(様式第1号)により、本会に報告しなければならない。

2.被災地域の支部事務局職員は、本会からの指示に基づき、被災状況等を本会規程第16条第1項第2号に定める被災状況報告書(様式第2号)により、本会に報告しなければならない。

3.前2項の報告は、電磁的方法により行うことができる。

(被災状況等の確認)

第25条 支部は、本会からの指示により、前条に定める報告がない支部会員に対し、第23条に定める緊急連絡網に基づき、被災状況等の確認を行う。

第5章 その他の緊急事態発生時における体制

(緊急事態対策室の設置)

第26条 支部長は、その他の緊急事態が発生し、必要と判断したときは、緊急事態対策室を設置する。なお、支部長に事故あるときは、あらかじめ支部長が指名する順位に従い副支部長が設置する。

2.支部長は、緊急事態対策室を設置したときは、これを支部役員会及び本会に報告する。

(緊急事態対策室の構成)

第27条 緊急事態対策室は、室長及び室員をもって構成する。

2.室長は、支部長をもって充てる。

3.支部長に事故あるときは、あらかじめ支部長が指名した順位に従い副支部長が室長となる。

4.室員は、室長が指名した者をもって充てる。

5.室長に事故あるときは、あらかじめその指名する室員がその職務を代理する。

(室長の権限及び職務)

第28条 室長は、その他の緊急事態発生時における当該その他の緊急事態に係る支部会務について、危機管理積立基金の支出その他一切の権限を有し、かつ執行する。

2.室長は、活動状況を支部役員会に報告するものとする。

(緊急事態対策室の職務)

第29条 緊急事態対策室は、次に掲げる事項について協議し、必要な対策を実施する。

(1) その他の緊急事態への事前対策に関すること

(2) その他の緊急事態の発生時の対応に関すること

(3) その他上記以外に必要な事項に関すること

(緊急事態対策室の解散)

第30条 室長は、緊急事態対策室がその目的を達成したと認めたとき、これを解散する。

2.室長は、緊急事態対策室を解散したとき、支部役員会及び本会に報告するものとする。

第6章 危機管理積立基金

(危機管理積立基金の確立)

第31条 支部は、災害その他緊急事態に備えた危機管理積立基金を設ける。

(危機管理積立基金の支出)

第32条 危機管理積立基金の支出は、次の各号のとおりとする。

(1) 災害対策室、支部災害対策室及び緊急事態対策室の設置及び活動費用

(2) 災害その他緊急事態発生時における会員及び一般納税者支援のための支部税理士会員派遣費用

(3) 情報収集及びその発信にかかる費用

(4) 前各号のほか、室長が必要と認めた費用

 

 

附 則(令和4年3月28日制定)

1.この規定は、令和4年6月7日開催の支部定期総会において支部規約が改正された時から施行する。